幼稚園児が微笑ましく歌う輪唱の名曲に「かえるのうた」があるが、この曲の歌詞に1点解釈上歌詞を変更すべき部分があることを示したい。
歌詞の確認
みなさんがご存知の歌詞は次のようなものだろう。あまりに多くの子供に歌われているため、鳴き声の部分が微妙に異なるかもしれないが、だいたいこのような感じだと思う。
蛙の歌が
聞こえてくるよ
くわっくわっくわっくわっ
けけけけけけけけ
くわっくわっくわっくわっ
変えるべき部分のあたりをつける
さあ、どこが本来あるべき歌詞と異なっているのか分かりますでしょうか。
まず、蛙の鳴き声に、「くわっくわっくわっくわっ」が「けけけけ」や「けろけろ」を差し置いて出てくることに違和感を感じるでしょう。しかも2回繰り返される。
どうしても「くわっくわっくわっ」を蛙の鳴き声としなければならない理由があるのだと推測し、ここが怪しいとマークしておきましょう。
輪唱で歌われることに着目
次にこの歌が輪唱で歌われることを思いだして欲しい。
上に書いた歌詞のそれぞれの行を区切りに輪唱に入るので、次のように5人同時に歌う時が最大の参加者となる。
1セット目
一人目:かえるのうたが
2セット目
一人目:きこえてくるよ
二人目:かえるのうたが
3セット目
一人目:くわっくわっくわっくわっ
二人目:きこえてくるよ
三人目:かえるのうたが
4セット目
一人目:けけけけけけけけ
二人目:くわっくわっくわっくわっ
三人目:きこえてくるよ
四人目:かえるのうたが
5セット目
一人目:くわっくわっくわっ
二人目:けけけけけけけけ
三人目:くわっくわっくわっくわっ
四人目:きこえてくるよ
五人目:かえるのうたが
さあ、この歌い手が最大数となる5セット目をじっとながめて欲しい。
1つだけ違和感のある歌詞が浮かびあがらないか。
「くわっくわっくわっ」に着目
先に書いた、どうしても「くわっくわっくわっ」を蛙の鳴き声としなければならない理由があるのだという推測と合わせれば、5セット目における一人目と3人目のどちらかが怪しい対象となる。
それはどちらか?
5セット目を平仮名書きし、最初の1文字だけを取りだしてみよう。
一人目:く
二人目:け
三人目:く
四人目:き
五人目:か
下から続けて読めば、「かきくけく」となる。
なんかちょっとだけ変だと思うでしょう。
最後はやはり「こ」が期待される。
なぜ「こわっこわっ」でないのか
かえるが「こわっこわっ」と鳴くのはありえん、と言うなかれ。それならば、「くわっくわっ」と鳴くのも同じですから。
では、なぜ実際に歌われる場合は「くわっくわっ」なのか。
それは自分で何度も歌ってみれば分かります。
「こわっこわっ」というのは、最初の「こ」の音で、いちいち口をすぼめねばなりません。
それは面倒です。口をできるだけすぼめずに発音してみましょう。音は「くわっくわっ」に近づくと思います。小さい子が歌うことを考えると、意識的に面倒だからというより、上手く発音できなくて「こ」が「く」になると考えます。
か
かき
かきく
かきくけ
かきくけこ
きくけこ
くけこ
けこ
こ
類似の言葉遊び
<かきつばた(伊勢物語 東下り)>
からころも
きつつなれにし
つましあれば
はるばるきぬる
たびをしぞおもふ