泉佐野市の振る舞いに対する騒動は、ふるさと納税とは何かが問われている問題であると思います。税金の話であって商売の話ではないので、いかに売り上げるかを考えるのは、違うでしょうと。
大阪府泉佐野市は2日、ふるさと納税の寄付金受け入れで、返礼品に加えてインターネット通販大手「アマゾン」のギフト券を贈るキャンペーンを再開した。(略)同市の直営サイトを通じて受け付け、寄付額の20%のギフト券を贈呈する。(略)泉佐野市は2~3月に「100億円還元」と銘打ち、返礼品とは別にアマゾンのギフト券を贈るキャンペーンを展開。石田真敏総務相が「身勝手で悪影響が大きい」と批判し、千代松大耕市長は「自治体の意見も聞かず、一方的に条件を押しつける総務省の方が身勝手」と反論した。同市はギフト券を返礼品ではなくPRに使う景品のようなものと位置づけている。
6月以降、改正法に基づき返礼品は寄付額の3割以下の地場産品に限定される。泉佐野市はこれまでビールなど地場産品以外の返礼品も多く提供。2018年度の寄付額は360億円を超えたもようだ。
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO43239110S9A400C1LKA000?s=0
税金を使ってPRすることなのか
これ、還元するという100億円の原資は何かということを考えると、ふるさと納税で泉佐野市に納められなかった場合は、どこか他の市の税金として納められたお金です。つまり泉佐野市は、自分のところにたくさん集めるために他の市に回るべき税金を使っているわけで、この理屈が通ったら、そりゃあ身勝手で悪影響が大きいでしょう。他の地方公共団体に渡るはずの税金を奪うために、他の地方公共団体に渡るはずのお金を使って自らのふるさと納税をPRするというのですから。どちらかというと、「身勝手で悪影響が大きい」という表現はかなりマイルドなくらいに思います。大阪商人の血が騒ぐのかもしれないが、お客様と自分が満足することが一番で、ライバルは落ちぶれようとも構わないという発想にみえてしまいます。でもこれ、ライバルが紳士的だから成り立つ理屈でライバルも同じことすれば、単なる共食いというか、納税者か漁夫の利を得て丸儲けというおかしなことが起きます。納税者丸儲け?たとえ建前としてもナイーブに言えば、納税は自分たちの国や町を良くするために、お金を出し合う制度のはずです。その出し手が丸儲けとかいうのは、概念として成り立ちません。
制度設計の問題
まあ、そもそもふるさと納税というシステムが、導入以前と比べると納税者丸儲けの制度です。納税者にとっては減税に近いものですから。しかも、高額納税者ほど恩恵があるという、まあ、お金持ち優遇制度といえます。それはおいておいて、しかし、返礼品は地場産品に限定とすれば、それは税金としては入らないが、その地方公共団体の産業振興には役立つので経済的効果が見込めるので、一応、納税する「ふるさと」とした地方公共団体に経済的効果を及ぼすといえます。
納税者としては残念だが
納税者としては残念ですが、さすがに泉佐野市のやり方は、納税という趣旨から外れたものであり、しかも素直に引き下がらなかったことからも、まあ、お灸を据えられても仕方ないとは思います。税は公平なのが建前ですので、抜け道があれば衝いていくというのは身勝手と言うのは正しいでしょう。ナイーブな建前しか表では言ってはならないです。