時々のこと

子どものサッカーについて。小学校から遂に高校までたどり着きました。その他時々のこととか。

本田圭佑選手のセルフプロデュース力


サッカーの本田圭佑選手は、本当に自己演出力に優れている。今回の「僕にサッカーを教わりたい人っていますか?」というtwitterのつぶやきも、非常に高度な演出である。何かを呼びかけているようで、呼びかけられた方は何を言われているのか絶妙に分からないという意味も含めて。

謎Tweet

これは国語現代文的になかなか面白い文章である。

なるほど、教える側が、お金払うのですか。これは目立つわ。しかし、あちこち胡散臭い文言が埋め込まれたつぶやきであるということも素晴らしい(後述)。

これまでのセルフプロデュース歴

ワールドカップに出場するため、当時ハリルホジッチ日本代表監督の「所属チームで試合に出ていること」という条件を十分満たすことのできないACミランの10番だった本田選手。ここでくすぶるのではなく、強豪ひしめく、つまり試合に出るためにはチーム内の競争が激しい欧州を避け、メキシコのCFパチューカに転進し、そこでならナチュラルに実力差があることから目立つことが出来て、しかも代表選出直前に監督交代というゴタゴタがあってワールドカップの切符を手にする。もちろんワールドカップが終われば、CFパチューカにいる必要もないので、次はどこにするかということになるが、ここで欧州に戻るかというとそういうことはなくて、オーストラリアのメルボルン・ビクトリーFCに更に転進。なぜメルボルンなのか。このチームは、AFCチャンピオンズリーグ2018(アジアのクラブチームNo1を決める大会)出場チームというのがポイント。日本からは、フロンターレ、セレッソ、アントラーズ、レイソルが出場するアジアのクラブの頂点を争う大会だ。メルボルンのグループステージは、フロンターレと同じグループ。アジアのクラブのチャンピオンを決める大会で、日本のチームと対戦する海外チームの選手として出場するわけです。CFパチューカはワールドカップ出場を賭けたプレゼン用、メルボルン・ビクトリーFCは、世界の本田として忘れられないために日本向けにプレゼンする用。何で日本向けにプレゼンするのかは見えてこないが、まあ、何か見据えているのでしょう。そして、今回の「僕にサッカーを教わりたい人っていますか?」である。本当によくできたプロデュースである。

上手な謎演出

これまでのセルフプロデュースは、明確に自分を目立たせるための選択であり、用が済めばお終いで、さっさと切り上げている。ここには効率優先の思想がある。恩とかお世話になったとかそんなものは感じられない。自分に必要な時に自分に必要なだけ利用するという効率優先のポリシーが伺える。そして今回の謎Tweet。これ、効率を考えるとかなり上手いというか美味い。とにかく最小限の努力、投資で最大限の効果を生むつぶやきである。

「僕がお金を払って教えます!」というインパクト

1万円払うから教えさせてくれというのは謎以外ない。なぜなら、本田選手クラスならば、無料で教えるだけでも希望者が殺到するから。有料であると、「なんだ金儲けか」「よくある選手ビジネスか」とか言われるが、無料ならそんなことは、多くの人は言わない。それなのになぜかお金払うからと言っている。無料と有料は違うが、無料とお金払うからというのは、金儲けと言われないという点では同じ。

何故1万円払うのか

では何故1万円払うと言うのか。まず簡単に思いつくのは、その方が目立つからということ。「本田選手から教えてもらえるだけでなく、お金までもらえるのか!」というのはインパクトありますから。
しかしもう1つ異なる考えがありうる。お金を受け取る側だと途中でやめられないが、お金を払う側だとそれができる。また、提供する教えのレベルが低くても「まあ、お金もらっているから」で教育を受ける側が文句を言いづらい。この辺りを計算して、お金を払うと言っていたらかなりの策士というか…しかし、最終的にはまずいことになると思う。ただ、このお金を払うというのも別な意味かもしれない(後述)。

僕にサッカーを教わりたい人っていますか?

これもキラーワードですね。日本代表に長らくいて、先のワールドカップでも目立っていたような気がする選手が言うのだから。しかも、「いますか?」という問いかけの形をとっている。いや、いるでしょ普通に。サッカーやっていて、名を成そうとした場合に、本田選手に教わった(ほどの選手)というのは売り出しの近道でしょう。自らについて、力があるのに世に出るチャンスがないからくすぶっていると考える選手はいくらでもいる。「いますか?」という言葉は、そういう者たちを焚きつけるに十分な燃料である。

教わるための条件1

「本気でワールドカップを優勝したいという人」というのが条件みたいなのだけれど。これ、内心の問題でしょ?本気度ってどうやって評価するのだろう。結局、これは本田選手が本気だと言えば本気なわけで、客観的なものではない。

教わるための条件2

結局、条件1と同じことになるのだけれど、「僕が教えたい人を好きに選びます!」が条件となる。しかしこれも条件とは言えなくて、要は教わりたい人は何をアピールしたり努力したりすれば良いか全く分からない告知になっている。100メートル何秒以内とかJ1選手に限るとかそういう条件がないと、自分が対象になりうるかどうかさえ分からない。しかし逆に皆が対象になれるかもと思えてしまう。こういうところがこのつぶやきの巧妙なところである。

分からないことだらけ

そもそも告知という形をとりながら、曖昧な点が多すぎる。

1万円払うと言うが、教える期間全部で1万円なのか、教える度に1万円なのか、はたまた今後毎日ワールドカップ優勝まで1万円払うのか全く分からない。しかし、これがどうなるかで受取金額は大きく変わる。そもそもこの1万円に何の意味があるのかも分からない。僕がお金を払って教えます!ってどういうこと?ひょっとして、1万円は、各人に払うのではなくて練習場を借りるお金?それならば、各自にお金を払うのとは全く意味が異なる。

ワールドカップを優勝っていつの大会を目標にするの?それで対象者が全然変わると思うが。それより何より、何人に教えるつもりなの?お金に関わる話であるのに、ここまで曖昧なままなのは、普通は詐欺を疑うのだが…続々リアルな人々がこのつぶやきにリプライしてしまっている。意気込みだけならまだしも、個人情報的なものまで書いてしまっている人もいる。

本当に分からないのは…

「僕が教えたい人を好きに選びます!」ってなんなの?これが分からないのに踊らそうとするのは酷い。

次の矢

結局これは本田選手お得意のセルフプロデュース観から繰り出されたもので、まずは多くの人の目を惹きつけようという意図でしょう。詳細というか次の説明は近いうちに出てくると思われます。ただし、なんで二段階にする必要があったのだろう。

有名海外チーム商法の匂い

なんか胡散臭さを感じるのは、有名海外チームの合宿商法に似た匂いを感じるから。サッカーの腕自慢の小学生相手、というか小学生の親相手に、有名海外チームの育成年代コーチが来て合宿し、MVPは現地に招待されトレーニングプログラムを受けられるというやつ。FC東京で今をときめく久保建英選手がバルサのこの制度出身ということで、親も気合が入るでしょうが…10万円以上かかるのね、合宿費。バルサの場合、全国各地でこれをやっている。かなりの集金システムである。それでいてバルセロナに行けるのは現在は2名の模様。激戦である。

お金は払うが別なところで集めてプラスになるシステム

本田選手のこの告知ではそんなことにならないとは思うが、事務手数料と称して、セレクションに1万円とか取るというのは何かリアルに想像できてしまう。本田選手から教わることができるならという者は、それこそたくさんいるだろうから、全国各地で本人登場の練習会兼セレクションを行えば簡単にびっくりする人数を集められると思う…とどうしても考えてしまう。そして、まずいのは、先に書いた、教える側がお金を受け取るのではなくお金を払うので、いつ教える側から教育を辞めても、教育内容がしょぼくても文句は言われないということ。更には、しょぼい内容というより、「ワールドカップで優勝するにはこれができなきゃ話にならない。辞めてくれ」と言うことが可能になる。これ、そうなったらかなり酷い。教育を受ける側の責任にして辞めたい時に辞められるのだから。

最低限示すべきこと

せめて、1万円を誰に何のためにいつ払うのかは示すべきだと思う。

無垢だから巻き込まれたか?

槙野選手とか長友選手とか、本田選手のtwitterでのつぶやきに、自ら手をあげちゃっているけれど、本田選手の集金システムの広告塔になっているのだとしたら、ナイーブすぎ。逆に知っててやってたら悪辣すぎ。

そもそもtwitterであること

twitterは、お金もかからないし、それこそ寝転んでいても発信できる。こんな効率の良い広告手段はない。それで長友選手、槙野選手というtwitterフォロワー数の多い有名選手経由の口コミも加わって、今回の「僕にサッカーを教わりたい人っていますか?」の宣伝効果は莫大である。
本田選手のセルフプロデュース力は半端ないのである。
実は集金の告知でしたというオチを期待しているのだが、それは今の段階で夢を持って本田選手のtwitterにリプライして個人情報的なものまで晒してしまっている方々の夢を挫くことになるわけだから、やはりここは本田選手に、変なフェイクなしに皆が思うそのままを実現して欲しいなぁ。

び…びんじょう!?

長友選手は本田選手のつぶやきに便乗するかのようにこんなつぶやきをしている。ああ…これは、ナイーブだからなのか、悪辣だからなのか。どっちとも取れるではないですか。

本田選手のつぶやきが集金システムであった場合、この長友選手のつぶやきも、それと連動した集金システムなのでしょうか。そうだったら怖すぎる。しかも、ワールドカップで本気で優勝したい人にフィジカルトレーニングだけ教えるって…わざわざ長友選手も集めるのではなく、本田選手の募集して集まった人に施すのが一番な様な気がする。【6/3追加】…と思っていたら、本家ではなく、便乗側がとっとと話を進めてしまっている。ちょっと拙速じゃないかとも思うが、大きくブチ上げた本家がそれ以降音沙汰なしなので、そういう意味で人の性格が出てるかと。

…しかし、速すぎる。でも、今後どうするのかわかりませんが、ワールドカップ優勝を目指すというのは、ワールドカップ出場でもなく、ましてや日本代表入りが目標でも無い。日本代表になるのは当然で、ワールドカップ出場も当然の前提となる目標の人選が、1〜2ヶ月でできるのかというと疑問。

もう一人の人…

あ、槙野選手はどうなのでしょう。手を上げて以降、何も言及なしですが。本田選手、長友選手、槙野選手。三者三様ですね。