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吉本興業・岡本社長会見〜2つの別な問題


これ、ダウンタウンの松本人志氏が漁夫の利というか、良く言えば収拾役で落ち着かせるしかないのかな。東のジャニーズ事務所、西の吉本が時を同じくして体制が変わるということで、強引にまとめると、"1つの時代が終わった"ということになるのだろうか。

社長記者会見の内容

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1つ目の問題

もちろん宮迫氏の闇営業問題である。しかし、これ、元々の"闇"の意味は、吉本興業に無断でという意味のはず。それが、反社会勢力に対する営業という意味になっている。まあ、それは良いとして、この問題が無ければ次の2つ目の問題は起き得なかった。2つ目の問題は個別の事象ではなく、状態であるので、正確には発覚しなかった。

2つ目の問題

吉本興業のパワハラ問題である。これ、常態化していたとしか思えないのが、岡本社長の会見での心象である。

岡本:「テープを録ってんちゃうの?」というのは僕的には、そのミーティングに参加して、打ち合わせがなかなか進んでいなかったので、しゃべりづらいのか、環境が違うのか、なのでその4人に退出してもらって、僕1人と彼ら4人で向き合った時に、一つは冗談で「テープ録ってるんちゃうの?」と。

──冗談だったのですか?

岡本:はい。まったく受け入れられず、まったく笑われることもなく。

真剣な場で、人も限った中で社長が「テープ録ってるんちゃうの?」と言う。これは強烈なプレッシャー以外の何物でもない。それを、冗談だと言ってしまう。あり得ない。あり得ないのだが、これあり得る場面が1つある。イジメの時に、いじめていた中学生が言う「いじめていたつもりはない。冗談のつもりだった」という発言だ。吉本興業と言えば、話芸では日本の頂点の会社である。それが、自ら開いた記者会見で中学生並みの言い訳をする。とんでもない事態であることがわかる。

そんなに個人バラバラで言うんやったら、勝手にせえと。それやったら、「会見するんやったら全員クビや」と言ったんですけど。僕としては身内の感覚と、相手の思いに伝わらなかったのは、僕が反省しなければならないということです。

「身内の感覚」というのも怖い。契約書なしの口約束で結ばれた社長と個人の関係で、「身内の感覚」を社長が言ってくる怖さ。パワハラそのものである。

身内の意識なので、家の中で怒っている感覚だったが、それはそうではなかった。相手にそう感じさせたなら申し訳なかった。

分からないのはこの感覚。つまり、身内で家の中なら、怒って良くて、パワハラしても、それは「身内の感覚」ということで問題ないという感覚である。絶句するしかない。その関係は身内というのではなく、隷属である。それを上から好意的に見ると、"身内の感覚"という表現になるのである。

2つの問題の差異

宮迫氏の問題は、真に悪いのは反社会勢力であり、そのパーティに出席し金品をもらいうけたことが宮迫氏の悪いところである。その意味で宮迫氏は受け身なのである。パーティの主催者が健全な組織であれば、本来の"闇"営業ではあるが、それ以外にコンプライアンス上の問題はない。あくまで受け身の罪なのである。しかも、そもそも口約束でしかない契約しか結ぶ気がない吉本興業側との間に"闇"営業は成立するのだろうか。反社会勢力のパーティに参加し金品を受領しても、犯罪ではない。
一方の吉本興業社長の対応。これもパワハラではあろうが、これだけでは恐らく犯罪ではない。しかし、社長の方は、社長がパワハラの主体であり、かつ、常態化している様相である。

形成逆転

宮迫氏が涙の記者会見で同情を集めたのに対し、吉本興業社長は、いじめっ子論理での会見をしてしまった。もちろん、宮迫氏が問題を起こし拡大させたのは事実で、もらっていないと言った後でやはりもらっていたとか証言を変えたら、火消しをしている側はたまったものではないのは理解できる。しかしき、それで怒りをぶつけてしまったのが不味かった。これまではそれでいけたのだろうが、宮迫氏は家族を持っており示しをつける必要もあっただろうし、かなりの売れっ子だったので、金銭的にも生活の目処が立っていただろうから、刺し違える気で向かってきた場合には、勢いだけのパワハラ的な攻め方では悪化するだけである。弁護士等を排して恫喝するのは、刺し違える気の者には、最悪手である。あくまで反社会勢力のパーティに参加し金品をもらった宮迫氏が悪いのである。しかし、その収集の過程で、吉本興業の方が悪いことになってしまったのである。このあたり、ついていた弁護士の差が出たのであろうか。

契約解除とその取り消しについて

宮迫氏の契約を解除したとか取り消したとか言っているのだけれど、そもそも吉本興業の契約は、あくまで書面によらない契約にこだわっているのだから、解除か取り消しに、あまり重みはない。というか、口頭の契約はいつでも口頭で取り消すことができるので、やっぱやめたとか、でもやっぱり解除するとか何度でも簡単に言える。まあ、だからこそ普通は契約書を作るのだけれど、それをこの期に及んでも契約書は作らないとか言っていると漏れ聞くので、まあ、そういう組織なのだなと思われたいとしか考えられない。