被害にあわれた方々にはおくやみ申し上げます。
今回の事件、身元確認が非常に時間がかかっていましたが、全員の確認が取れたそうです。その上で、被害者の方々の名前の公開に対し、京都アニメーションと警察で協議しているとのこと。これは何を協議しているのでしょうか。
報道記事
共同通信
産経新聞
未だ身元公表に至っていない
上の2つの記事は、時系列が逆で、まず産経新聞の記事があり、その後、共同通信の記事となります。
産経新聞記事は、次のように書いています。
被害者家族らの心情に配慮し、京都府警が公表の時期や方法の検討を重ねているためだ。府警幹部は「被害者に寄り添いたい」と強調。死亡した34人全員のDNA型鑑定を実施し、慎重に身元特定を進め、被害者家族や京都アニメーションと公表方法についても協議している。
非公表なのは警察と犠牲者側の協議のため
これは、他の犯罪犠牲者においても行われているプロセスなのでしょうか。よく、犯罪犠牲者の身内の方がそっとしてくださいと言うにも関わらず、自宅前や葬儀場に取材に行く場面をテレビで見ることがあります。これら犠牲者家族は、産経新聞の書くような公表方法についての協議をしてもらえていたのでしょうか。それとも、京アニの場合のみ「被害者家族らの心情に配慮し、京都府警が公表の時期や方法の検討を重ねている」という特別待遇をしているのでしょうか。そうであれば、それはなぜなのでしょうか。
京アニはテレビ側の会社
京都アニメーションは、テレビアニメ枠を買い、そこで自社のアニメを放映しているテレビ側の会社です。テレビ会社にお金を払う立場の会社なのです。つまり、マスコミと呼ばれる側にとってお客様の会社なのです。この点が関係していないと言えるでしょうか。
産経新聞の記事
産経新聞の記事では、過去の犯罪被害者の例をひいて、時間がかかっていることを説明していますが、引用された過去の例にて、公表を希望しない家族がいたかいないかの言及はありません。身元確認が難航して公表が遅れたことしか言っていません。だから身元確認が取れたらすぐ公表されているケースかもしれません。しかし、この京アニのケースでは、府警幹部が「被害者に寄り添いたい」からタイミングをみていると書いています。これは身元確認とは別な話で、身元確認がすぐできていても公表されない可能性が高かった発言です。「そっとしておいて」と被害者家族が弁護士を通じて声明を出すケースを過去に何度も見ているので、なぜ今回はこんなに丁寧かつ配慮する特別扱いなのかと思わざるを得ません。言い方を変えると、今回のケース以外は、警察側が被害者に寄り添うつもりがないという記事の書き方になってしまっています。そんなわけはないでしょう。
全ての被害者家族の方へ配慮を
「被害者家族らの心情に配慮し、公表の時期や方法の検討を重ねる」ということは、全ての犯罪に限らず様々な被害者本人、家族の方に行って欲しいというよりも行うべき対応でしょう。「被害者家族らの心情に配慮し、京都府警が公表の時期や方法の検討を重ねている」というスタンスは、例外が必要となるケースは考えにくいので、これを徹底して行けば被害者家族の負担は軽くなると考えます。