まあ、数字というのは、主張する側は、自分に都合の良い定時方法を探し出して最大限使おうとするよね。この記事の都のように。
しかし共同通信も上手だった。都への提灯記事と見せかけて、かなりの皮肉を効かせた記事に仕上げている。
記事
記事の概要
まあ、タイトル通りで、マラソン札幌移転の賛否を示す都への意見の内、88%が反対意見だったということ。
記事の裏から見えること
そもそも反対は多いのか?
368件で88%ということは、全体で418件程度。わざわざ都に意見を寄せるという行動を起こす者がこれだけしかいなかったとも言える。世界的イベントであるオリンピックの重要事項についての判断材料としては、貧弱であるといえないか?
都への意見は単なる1地区のもの
まあ、多くの日本国民にとって、マラソンも競歩もどこでやるかより、いつ、どのようにしたらテレビもしくは配信で観ることができるかが重要なので。これが国外開催とならばまた話は別だろうが、それでも単に1つの国の話と言える。それくらいのイベントのはず…と少なくともIOCは思っているはず。だから、368件など全く意味をなさない。都自身のウエブページにあるように、東京オリンピックでは、206の国・地域が参加する。その中で、1国の、さらに1都市にすぎない東京都に寄せられたたった368件の反対意見の重さは、たとえ開催都市であるとしても低い。
都民からはマラソンや競歩を東京で見たいとの声をいただいており、思いを受け止めなければならない
この小池知事の記者会見コメントでも分かる通り、小池知事は都民しか見ていない。都知事だから当たり前といえばその通りだが、このコメントでIOCの心証が上がるわけがない。そもそも行政の長であるならば、個の利益と全体の利益の衝突が当然の世界の道理は分かっているはず。都知事という、これまでは全体の利益を語る側にいた者が、個の利益を主張する側になった途端に全体の利益を一切語らなくなるのは、まあ、そう言う人が東京の行政のトップにいるのだよということ。この考えを、今、都に対して個の利益を主張している方々に適用してあげてほしいよ。築地移転の時は、全く逆の立場で逆の振る舞いをしていたからね。
示す数字がそれじゃない感
この記事のハイライトはここ。東京都が示したのは、都に寄せられたマラソン札幌移転に反対するコメント数と賛否の割合と全体のコメント数。いやね、これでIOC論破できるわけがない。
IOCは、ドーハで行われた世界選手権のデータや東京と札幌の過去3年の暑さ指数を数字で示している。
主観的意見の数という東京都のデータと客観的に計測されたIOCのデータ。東京都は、これで何をしようというのだろうか。
都民に向けた頑張ってるメッセージ
結局、もう東京都および小池知事としては東京開催は諦めていて、しかし、都民には最後まで頑張っているよというためのポーズなのだろう。しかし、都民はそんなレベルなのだろうか。客観的データを示す相手に、主観的かつ少数しか集まっていない意見を以って争う気でいるそぶりを見せる行政を信頼の目で見ているのだろうか。
この記事の評価
東京都と小池知事におもねる記事に見せかけて、都民に対し東京都と小池知事がどのように考えているかがはっきり分かる良い記事である。