この記事の価値は、テコンドー協会会長の発言を報道したことではなくて、新しい理事に選ばれなければ、そのまま協会を退く意思があることの現地をとって報道したことである。
記事
当たり前のことを言っているだけ
金原昇会長は検証委員会が提案する新しい理事に選ばれなければ、そのまま協会を退く意思があることを初めて示しました。
まあ、選ばれなければ退くのは当たり前で、特に記事にすることはない。
当たり前のようだが…しかし…
特に記事にすることはない…と思いたいが、実際の発言として描かれている表現は若干危険性を帯びている。
全日本テコンドー協会・金原昇会長:「もし仮にそうなれば、さらに私は外から応援したいと思っている。結果的に役職があるとかないとか、それは私にとっては関係ない」
ちょっとこれ、こんな短い文に2箇所も怖いところがある。
1つ目。
もし仮にそうなれば、さらに私は外から応援したい
え?まあ、仮にというのはプライドで言っているのだろうから良いとして、「さらに私は外から応援したい」って何だ?これまでの会長の印象から、この表現は、外から圧力をかけて自分の思う通りにするぞ!と言っているように見える。ここで問題になるのは、「さらに」という表現。ここが「静かに」「陰ながら」であればまだ良い。しかし「さらに」というのは今まで以上にやるぞ!というやる気満々で、一旦にしろ辞職させた奴らは覚えておけ!というニュアンスが溢れてしまっている。本心はともかくここに「さらに」は使うべきではなかった。
2つ目。
役職があるとかないとか、それは私にとっては関係ない
これも、え?となる。会長にとってかんけいなくとも、協会には関係ある、というか、あなたに役職があるから問題になっているというのが、会長以外の認識で、それを、役職は関係ないと言ってしまったら、全く話が通じなくなってしまう。
今までのステージで通用したことが通用しないことに気づかないということ
1つ目だけでも2つ目だけでも怖いのに、2つセットで言うのは、まあ、ダメだね。牙むき出しで威嚇しているのは、身内の中だけなら効果があったのかもしれないが、ニュースに上がったら逆効果。これで再選されたら、選んだ方もニュースにされるから、選ばれる確率が減る。ステージに合わせた発言ができなかったと言うこと。これ、テコンドーというのは未だマイナーなスポーツであるので、東京オリンピックでなければ騒がれなかったかもしれない。東京オリンピックだから、かさ上げしてニュースになった可能性はある。会長にとってはタイミングが悪かったというか、自分の身の丈より上のステージになったからついていけなかったということだろう。
選手ファーストがだれかの都合の良い言葉にならないように
ここまでこじれると、選手ファーストとは何かという問題になるかもしれない。選手のやりたい放題はまた選手ファーストではない。そもそも選手間にも立場があり、一筋縄ではいかない。権威と信頼のある協会がオリンピック開催まで1年を切った段階で存在しないのは、かなり色々なことをオリンピック開催までに引き起こすはず。選手ファーストの名の下に一部の有力選手が極端に有利になるとかそういう、だれかの都合の良いように使われるのも避け、うまく運営されてオリンピックのテコンドー競技自体と日本代表の成績が大成功に終わることを祈るのみである。