日本語と少年サッカー

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ぶつかってきたのは、あなた。何も言わずに立ち去るのも、あなた。の怖さ


ちょっとこれは無いというポスターが駅に貼られている。

「やめましょう、歩きスマホ。」キャンペーンということだが、何で昔のドラマのチンピラのセリフを使うのだろう。

問題のポスター

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https://www.tca.or.jp/press_release/pdf/191025.pdf (2019.12.11アクセス確認)

このキャッチーなポスターを見て最初に思うこと

警告色

黄色の背景色に黒のゴシック体の文字。これは見た人にハチの警告色を想起させるものであり、それだけでドキリとさせるものである。見た人は、文を読む前から威嚇されるのである。

詰問調の文

ぶつかってきたのは、あなた。
何も言わずに立ち去るのも、あなた。

この文も詰問調である。これが使われるシーンを想像してみれば分かると思うが、かなりの威嚇効果を生む文である。

この文からイメージされるもの

チンピラの言いがかり…このポスターのキャッチコピーを見て、これが最初に浮かぶ人が多いのではないだろうか。確かに威嚇効果はあるだろうけれど。マナー啓蒙のポスターにチンピラの威嚇を用いるのはどうなのか?
このキャッチコピーのシチュエーションでは、詰問だけでは済まず、この後、この発言をした側が、ぶつかってきた人に因縁をつけていくというシーンしか浮かばない。それを望むのか?このポスター作成側は。また、このキャッチコピーを思いついた人は、そういう発想の人なのか?

マナーポスターのマナー違反

このポスターは、マナー啓蒙目的のものなのに、それを見た者に対し、威嚇的なコピーを向けるという、ちょっとモラルに欠ける手法を取っている。

何が悪いのか

では、このポスターの何が悪いのか。それは簡単で、このポスターの目的である「駅施設内等における携帯電話・スマートフォンのながら歩きによるお客さま同士の衝突や 線路への転落等の事故を防止するため、安全なご利用を促進してまいります。 」が、キャッチコピーからは全く浮かばないからである。このため、このコピーは一般化されて見た者に伝達され、警告色とあいまって、チンピラの威嚇をイメージされてしまうのである。

マナーと強制

結局、このポスターは、マナーでしかないものを、威嚇して押し付けようという発想から来ていることがダメなのである。何でマナー違反程度のこと威嚇されなければならないのか。逆に、これはマナーの問題ではなく、駅施設等を安全に利用するための義務だと言うのであれば、歩きスマホを禁止し、違反者は駅施設等を利用させないというところまで持っていくべきである。そこまで持っていかないにもかかわらず、強制させようと言う意図があるから、威嚇的になるのである。

マナーの押し付けは怖い

マナーは自発的なものであるはずであり、強制により押し付けられるものではない。そうなればもはやマナーではない。この辺り、もしポスター作成者が理解した上でやっていたら、怖い。

実は昨年も

昨年も同じようなキャッチコピーのポスターをこの団体は作成していた。

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https://www.tca.or.jp/press_release/pdf/181025.pdf?adid=othr_181031_fbsn_m_s_s_o_0_001

(2019.12.11アクセス確認)

これ、コンセプトは全く同じと言えるが、詰問調ではなくなっている。それでも多少詰問の印象はあるし、黄色と黒の警告色という点では同じ。この程度なら、チンピラ感は無いので、まだ許せる。これを今年はパワーアップしてしまったということ。文言だけでなく、白でバツを入れることさえしている。まあ、昨年のポスターでは効果が薄かったので、より効果を見込むため強く行きましょうと誰かが煽ったのだろう。マナー広告なのに。

同時作成の車内ポスター

昨年のメインのポスターは今年よりはマシといえど、昨年の車内ポスターは酷い。

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https://www.tca.or.jp/press_release/pdf/181025.pdf?adid=othr_181031_fbsn_m_s_s_o_0_001
(2019.12.11アクセス確認)

余計なお世話である。たかが歩きスマホの是非の話に、何でこんなことを言われなければならないのか。友情の定義というものは、各個人が持って良いもので、他者が定義するなどあり得ない。まあ、このようなあり得ないことを思いついて、それがキャッチーで良いアイディアと思えてしまう人たちだからこそ、今年のチンピラの脅し文句を使った歩きスマホやめましょうポスターを採用できるのだろう。マナーとは何かが分かっていないのは、このマナー啓蒙ポスターを作った側だというオチがついている、ストーリー性のある優れたポスターである。