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これは個人叩き:スペイン旅行帰りの検査結果待まずに空港を出た感染者報道


海外帰りで、成田での検査結果待ち中に空港を出た家族が検疫法抵触の可能性があるという。しかしこれ、何かおかしな記事。個人叩きにしか見えない。

個人叩き記事

家族のやったこと

厚労省は23日、成田空港検疫所での検査結果を待たずに空港内を出た行為は「検疫法13条に基づく検査を拒んだという解釈も可能」とし、女性や同行した家族らが同法に抵触する可能性を示唆した。

これによれば、問題になっているのは、「成田空港検疫所での検査結果を待たずに空港内を出た行為」である。つまり、この行為をどう評価するか、どこまで具体的に書かれるかが、この記事の価値になる。

何に触れるのか

権益法らしいが、「検疫法13条に基づく検査を拒んだという解釈も可能」という不確定さ。「検査を拒んだので検疫法13条に違反する」のでも「検疫法13条に基づく検査を拒んだ疑い」でさえない。「拒んだという解釈も可能」なだけで、厚労省は、検疫法違反とは断言していない。というより、「疑い」という言葉さえ使っていない。法令違反でこのような表現は通常ない。

報道する価値は何か

可能性があるという認識を持って調べるのまで悪いとはいえない。しかしこれ、具体的事例が挙げられているため、女性とその家族と交友関係のある者たちには特定可能である。記事にするようなことなのだろうか。報道することの価値は何なのだろう。

女性とその家族をさらに責める記事

同省は検査を巡るやりとりの詳細は調査中とし、今回のケースが直ちに違法かどうかは明言しなかった。待機要請に応じず空港を離れた事例は初という。

この部分から分かるのは、厚労省は結局、現時点で違法か否か判断できないということ。つまり、推定無罪どころか、その行為が法に触れるか否かも判断できていない。21日に判明しているので、2日かかっても、その法律の所管省庁が違法かどうか判別できていない。それを一般人に適用するのは無理ではないか。故に、この家族の行った行為は責めるべきであるが、これほどの記事にするものではないといえる。

法に反するといえる指示なのか

 同省担当者は、指定場所から離れないことなどを記した資料を使って家族らに説明したとし「待機指示とも受け取れる」と話した。

指定場所から離れるなと書いた紙を使って説明したから、それは待機指示とも受け取れるということだが、単なる待機のお願いなのではないか。法に触れると書いてあるもしくは自明なほどの記載なのであろうか。補償も何もないのに。この資料の中身次第といえるが、「とも受け取れる」という歯切れの悪さからは、形式的には法令に違反するかもしれないが、明確な違法性はないであろう。

追い打ち

一方、県はこれまで空港での待機には強制力はないとの認識を示していた。県には22日付で厚労省から検疫法の解釈に関する通達が届いた。

厚労省も即断できず、県は強制力はないと認識していた。で、本件発覚後、厚労省から解釈の通達が届いたと。それでもこの件については、法に触れるか否か断言できない。もう全くもってこの家族の行為が、法に触れると言うのは無理だろう。

すべきこと

厚労省がすべきこと

このような事例は容易に想像できるもので、対応を事前に決めておくべきであった。これについては、「待機要請に応じず空港を離れた事例は初という」と書いて弁明している形になっているが、これは容易に推測でかある行為である。少なくとも文書を見せているのであれば、そこに違反行為とそれに対する刑罰等を文章にしておくべきである。また、今回のようなケースが抵触するか否かも明確に書いておくべきである。

マスコミがすべきこと

家族の責任を挙げるのではなく、厚労省の曖昧な判断を直接的に責めるべきである。記事の後半からは、厚労省を責めているように見えるが、それは前半に家族を大きく責めたことにより成り立っているもので、適切とはいえない。

それでも報道されたらこの女性と家族はさらに追い打ちをかけられることになるとは

脅迫電話が教育委員会にかかってきていると言う記事もあり、この女性とその家族は、この記事でさらに追い打ちをかけられることになる。これについては、全く厚労省と県の問題であるにもかかわらず。