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奈良県独自融資の喜劇的末路〜当初融資枠をあざ笑うかのように激増する決定額


当初は素早い対応と絶賛されていたが…結末は悲劇を通り越して喜劇。当初見積もりの50倍の枠設定しても更に超えそうになって制度変更に至るというのは、結果論としては色々まずい事態。駆け込み申し込みでどこまで上積みされるか県担当者はヒヤヒヤもしくはここまでくると諦めの境地にあるのかもしれない。純粋に全ての融資が県内事業者の危機的緊急事態を救うものであれば、将来の負荷を残しても仕方ないが、そうでないものも一定数あるのではないかなと邪推される。それどころか、実際には事業者にとってのメリットというより、その裏にいる貸出し金融機関の思惑が絡んでいるような気配もする。

記事

加速する融資決定額

3月の当初予算では融資枠を30億円としてスタート。
4月上旬57億円
4月24日368億円
5月21日973億円
5月29日1200億円超

制度変更の決定

この当初融資枠をあざ笑うかのような増加スピードは、県の負担も増大させることに。このため、融資枠を1500億円と当初の50倍に設定したところであきらめ、県は、6月17日の申し込み分から全額負担をやめることを決定したのだが、後の祭りである。この加速度からして6月17日の期限までに1500億円を超えることは必至。駆け込み申し込みがあるだろうから、2000億円を超えても全く不思議ではない状況。

制度上の問題

どうしてこんなことになったかといえば、銀行の積極的な融資推奨だろう。保証料も利息も県が持つ融資となればリスクは激減。銀行として、新型コロナウイルスによる融資先の業態悪化による貸し倒れリスクを回避するのにこの制度は最適であり、どんどん入って行ったと考えられる。

県は読み間違いの罠にはめられた可能性

県の施策なので、一度始めたら公平性の観点からやめられないが、しかし当初見積りの50倍というのは酷い。この制度融資を取り扱うのは19の金融機関であるが、単純に割っても1金融機関あたりの融資額は当初見積りの2.5倍となる。これ、どう考えてもおかしい。当初見積りは県職員だけでは算出できないであろうから、県は誰かに聞いたはずで、その聞き取り先に県は騙されたのではないかと思えるほど。

最後まで頑張った者が損をする制度

6月17日でこの制度が打ち切りになるということは、県のこの制度融資に頼らず頑張ろうとした経営者が、どうしても無理となって7月に申請するとなると損をしてしまうということを意味する。早々に借りてしまった方が結果論としては良かったことになる。これは何かおかしな感じがする。これを考えれば、駆け込みは更に加速度を増すであろう。

金額の増加が意味するもの

かのような加速度的な金額の増加は、融資決定の審査が、通常とは異なる基準となっていると考えられる。これも含めて早期に利用した者勝ちな制度になっており、結果論ではあるが、県の犯した罪は深い。

制度開始時の賞賛の声が悲しい

3月の制度開始の報道では、全国に先駆けて開始と好意的に報道されSNSでも語られていたが、事態は想像の上を行ったようだ。最大10年の融資期間ということなので、当初想定の50倍の利息負担は10年後まで続く。これはあまり馬鹿にできない状況のはずである。現在の県知事が10年後まで知事でいるか否か分からないが、コロナ禍という未曾有の状況とはいえ、これはとんでもない負の遺産になるのが目に見えている。

他県にとって他山の石

奈良県が先行して取り組んだおかげで、他県はこの施策がどのような結果となるかを知ることができた。これは大きい。先行者は称賛も非難も受けがちだが、視野を一段高く持てば、奈良県はいち早く取り組んだことのみをもって称賛は受けるべきで、ネガティヴな評価はもう少し待ってから下すべきかもしれない。まあしかし、奈良県だけこれほどの資金ニーズがあるとも考えられないので、同様の施策を取ればどの県も旺盛な申請があるだろうけれど、金融機関に食い物にされた感は否めない。とはいえ、奈良にはこれほどまでの資金ニーズがあるのに、他県企業はどのように資金をやりくりしているというのだろう。