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開いたパンドラの箱:水泳瀬戸選手に対する水連処分の違和感


女性問題を起こしたオリンピック水泳代表内定の瀬戸大也選手に対し、日本水泳連盟は、「年内活動停止」の処分を下した。ただしこれ、非常に違和感がある処分である。

記事

違和感の所在

違和感は、次の2つからなる。

1つ目は、この処分は恐らく今回用に作った特別ルールということ。今後類似した事象が発覚しても、これを元に他の人にも適用するということはなさそう。

2つ目は、なぜこの決定を水連が下せるのかということ、

それぞれもう少し詳しく見てみる。

なぜこの決定を水連が下せるのか

日本水連はスポーツマンシップに違反し、日本水連の名誉を傷つけたと判断。青木剛会長は「一連の行動は大変残念」とコメントした。

スポーツマンシップに男女の問題といった極めてプライベートな内容も含まれているのである。あと、一水泳選手の極めてプライベートな問題が、日本水連の名誉に関わりうるという論理に違和感を覚える。「日本水連の名誉」ではなく、「日本水連のブランド価値」というのならまだ分かるが。しかし、極めて個人的なことを元に処分を下すことは、非常に危険であることに気付くべきであった。そもそも瀬戸選手は、問われてもいないのに自ら不倫を明言したのではない。不倫問題当事者ではない第三者にスクープされたのである。

今回用に作った特別な理由と処分

理由のまずさ

「日本水連はスポーツマンシップに違反し、日本水連の名誉を傷つけた」と言うが、余りに抽象的かつ、あくまでプライバシーに属することを以って組織の名誉を傷つけたと言っている。これは非常にまずい。

「年内の活動停止処分」という謎の処分

活動停止の内容次第だが、日本水連関連の活動の停止だろう。当面はオリンピック出場が目標の選手に、日本水連関連の活動停止はなんの影響もない。しかも、水泳において、10月中旬以降から年末までの活動と言ったら、そもそも目ぼしいものもない。瀬戸選手にとっては、変なイベントに引っ張り出されないので逆にメリットかもしれない。

処分例ができてしまったことの怖さ

不倫問題で年内活動停止(実質約2ヶ月半の活動停止)処分が下される前例ができてしまった。これ、来年の6月辺りに別なオリンピック出場選手に同じようなことが発覚したら、水連はどうするつもりなのだろう。まさか「瀬戸選手とは異なり、この選手は知名度が低いから、日本水連の名誉を傷つけたとまでは言えないので、おとがめなし」等にしたりするのだろうか。それは余りに人を見て罰を下していることになる。今後、同じような事象が起きた時の対応の選択肢に対し、日本水連は、自らに前例という足枷をはめてしまったことになる。

今後起きうること

オリンピック直前の水泳選手を狙った暴露

大きな大会から小さな大会まで、出場選手の不倫探しが始まるのではないだろうか。さしあたって来年のオリンピック直前期に、1つ2つ出場予定選手の不倫話が出てくるのではないだろうか。マスコミのネタというより、正選手が活動自粛になり、自分が繰り上がる可能性が高まるのであれば、補欠選手が正選手の不都合なプライベートを明かそうと積極的になるモチベーションは否定できない。

水泳選手にとどまらない

そしてスポーツマンシップ違反を元に断罪しているため、これは水泳選手にとどまらない。つまり、これは日本陸連その他スポーツ団体を縛りうる処分理由なのである。

美人局(つつもたせ)で選手を潰せることになる

選手を潰すことを企む人間にとって、選手の不倫問題で活動停止に追い込めるという前例は、非常に強力なアイテムである。要は、美人局を使えば簡単にオリンピック出場候補選手を潰せるいうことである。しかも、これは水泳選手にとどまらない。日本水連の今回の決定で、選手個人のプライバシーに関わることを日本水連の名誉の話と結びつけ、活動停止にできることの問題は非常に大きい。

下方展開されたら恐怖

オリンピックに出場するのならなんでもやる人は、いくらでもいる。オリンピックでなくても、各種世界大会でも、国体でも、もっと小さな大会でも、そのような人はいるだろう。代表に選ばれるため、順位を上げるためとその目的は多々考えられる。男女問題で選手の活動を停止させられるという前例は、中高生選手においては、より強力な爆弾になるかもしれない。中高生らしいスポーツマンシップというのは、得体の知れない崇高なものに見える。不倫という犯罪でもないことでこのような処分が下されるのであるから、万引きしたら警察沙汰なので、日本水連の今回の判断基準からは間違いなく活動停止となるはずである。警察沙汰はともかく、実際に処分されるか否かではなく、処分可能性があるとして、プライバシーの話を探りあったり、県水連に通報されたりと公にされることが問題なのである。

日本水連はパンドラの箱を開けた

大小の水泳大会において、犯罪ではなく、あくまで個人のプライバシーの範囲の問題で出場停止とできる可能性を示してしまったことは、これからの日本の水泳競技において、これまでとは異なる選手管理の必要性が、コーチと選手本人に突きつけられたということになる。来夏に向けて、水泳選手にとどまらないスポーツ選手の不倫問題が表沙汰になったら、背景には

この日本水連が瀬戸選手に下した処分があることを思い出すべきである。