時々のこと

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サガン鳥栖快進撃のブレーキと2試合連続のレッドカード


サガン鳥栖の破竹の勢いが、セレッソに敗れたことで一旦止まった。そして続く川崎戦にも敗れ連敗。この4月には、名古屋戦も控えている。この快進撃と突然の2連敗、どういうことなのか。また、2連敗の試合には共にレッドカード退場者も出している。どうしてこんなことになったのか、それについて考える。

ファウル・黄赤カード数

サガン鳥栖ファウル数データ
(数字は左がサガン鳥栖)
対戦相手 ファウル数
8 川崎F 12-11 0-1 1-0
7 C大阪 19-9 2-0 1-0
6 福岡 13-12 1-1 0-0
5 11-18 1-0 0-0
4 清水 8-7 1-1 0-0
3 仙台 15-7 1-0 0-0
2 浦和 11-8 2-0 0-0
1 湘南 14-10 2-1 0-0

柏戦のファウル数以外、全て鳥栖がファウル数もイエロー+レッドの枚数も上回っているか同数である。柏戦も、イエローの数は、柏の0に対し1と上回っている。柏は2020年に昇格し2020年こそ7位と中位であったが、現在は降格圏にいるので、まあ、どの相手も強い相手という認識で臨んでいるのだろうから、当たりが強くなるのは理解できる。

対戦相手の強さ

サガン鳥栖も、破竹の勢いであるように見えるが、セレッソ、川崎を除き、福岡が20チーム中の10位と辛うじて上位半分に入っているものの、他は全て下位半分であり、現在までに対戦したのは、ファンソッコ選手退場となったセレッソと、田代雅也選手が退場となった川崎以外は弱いチームである。

赤字チーム

トーレス1人と契約した2019年の年俸の6割程度の総額で全選手と2021年シーズンの契約をしたサガン鳥栖である。懐事情はかなり厳しい。今年度の最高年俸選手が2500万円という厳しさ。

順調な育成

育成がうまくいっているというのは、昨年度の日本クラブユースサッカー選手権(U-18)で優勝し、また、今季開幕戦に17歳6カ月10日でJ 1にスタメン出場し、その後も出場を続ける中野伸哉が証明している。他にも高校三年生のユースメンバーがトップチームの練習に参加しているという。

負けられない本気

ジャイアントキリングとまでは行かないまでも、低順位のチームが上位チームを倒すことは普通にある。特にシーズン終盤に降格争いの渦中にいるチームが、中位、上位チームに勝つことは毎年のようにみられる。シーズンのもっと早い時から本気出せよと言いたくなるこのような試合は、個別の試合に対するチーム及び選手のスタンスによる。降格圏及びその近くにあるチームは、何とか残留しようと必死になるだろう。一方、優勝争い真っ只中というチームでなければ、中上位で本気度の高いプレーをすることは、選手自らの怪我を招くリスクもあるから避けるだろう。個別の試合に対する意識の差が結果に現れるのは不思議なことではない。

サガン鳥栖の本気

以上を踏まえると、サガン鳥栖は、2021年シーズン開幕から勝ちに行っていると思われる。第1節からしばらく、比較的弱いチームと対戦することから、1つも落とさず進め、強豪と当たる前に勝ち点を積み上げようとしているように見える。今の財政状況を考えれば、J1から陥落したら悲惨なことになるのは選手全てが理解しているだろう。

J1で現時点のトップ3と対決

そんな中で、サガン鳥栖の快進撃が始まっていた。しかし、4月には、セレッソ、川崎、名古屋と、現在、鳥栖の上にいるチームと直接対決が組まれている。そのうちのセレッソと川崎で黒星をつけた。サガン鳥栖の順位が、弱い相手との対戦が多いから得られたものと考えれば、対セレッソ戦、対川崎戦は、上位対決というわけではなく、敗戦は順当なものと言えよう。

ファンソッコ選手の退場

1枚目のファウルは、足を出しているのは事実であり、それが当たったか否かは問題ではない。大久保選手がシミュレーションかどうかに関係なくダメなプレー。大久保は前方を見ていたので、背後からの蹴りを察知したというより、触れたか、蹴り足が視野に入ったかのいずれかであろう。いずれにせよ、大久保選手が背後からの蹴りを察知できるような程度のアクションをファンソッコ選手は取っていたということで、カードは仕方ない。それ以降も、肘打ちしたり足を掬ったりとしてきた後、4度目のファウルで2枚目をもらったと。ボールに行ってはいるが、足を掬っているのも事実であるし、相手の足を引っ掛けるため、妨害に用いる自分の足の高さを出せるように、足の裏を意図的に地面につけ、膝が上になるようにしているとも取れる辺なプレーをしている。1試合で2枚イエローをもらえば退場となることは分かっていて、4度にわたるファウルをしている。4度目でイエローを出し、退場にしたのは、これ以上のファウルでセレッソの選手が負傷しないためには必要な措置だと言える。

田代雅也選手の退場

レッドカードにより出場停止のファンソッコに代わって3試合ぶりにスタメン出場した田代雅也選手がレッドカードで退場するという、ちょっと信じられない結果。ファンソッコ選手も田代選手も、アピールする方法がおかしい。田代選手は、昨年までJ 2所属だったが、今年からJ1チームの所属となった。せっかく勝ち上がったのに、一発レッドというのは観ていて応援したくなくなる。しかも、前回のスタメンである第5節柏戦でも、田代選手は、レッドにもなりかねないかなり危険なプレーでイエローを受けている。つまり2試合連続で危険なプレーをしている。ただし、川崎戦でのレッドの局面は、ファンソッコ選手の様な無意味な蹴り行為や、危険なプレーというより、ドグソの手前というか、それを許せば、ハーフライン周辺で既に、川崎のレアンドロ・ダミアンの前にはキーパーしかいなくなる局面となったであろうから、その得点機会を潰したという点では、チームへの貢献は高い反則とは言える。行為自体の危険性はファンソッコ選手の行為よりは低いと言えそう。冷静なファウルということ。

田代選手は、J1に上がり、すぐまたJ2に戻らないためには、自身をアピールする必要があるから、闘争心をアピールする必要があるが、そもそも所属チームが、経営的にガタガタなチームなので、チーム自体が残留のために戦闘モードが強くなっている。そんなチーム環境の中で田代選手はアピールしなければならないので、勢い客観的には危険に見えるプレーを選択してしまうのかもしれない。

特攻的戦略

シーズン開始早々、ファウルを取られることをものともせず突進する鳥栖の試合運びは、危うい。残留争いのようなとは言わないまでも、強度の強い試合を続けていれば早晩息切れする。サガン鳥栖のこの進み方は、旧日本軍末期の特攻隊のようなイメージである。最初は敵も度肝を抜かれて対応にあたふたするが、じきに攻略法が編み出され、それでも特攻を続けると、自陣の消耗ばかりになる。サガン鳥栖もそうなるのではないだろうか。しかし、サガン鳥栖には、若くアピールしたい層が沢山いる。そこでサガン鳥栖が、若い選手を消耗品として使わないかが気になる。チームのJ1残留のために、若い選手のトップチーム残留、試合出場機会を得たいという夢を利用しないことを願うしかない。ベテランと言えるファンソッコ選手が特攻隊の手本を見せ、J2からの叩き上げの田代雅也選手が後に続いたとは思いたくない。

名古屋戦に注目

セレッソ、川崎と並び、サガン鳥栖の上にいるチームである名古屋との戦いが、これも4月にある。この時のサガン鳥栖の戦い方は、2021年シーズンのサガン鳥栖の戦い方を理解するのに最適の試合であろう。二度あることは三度あるのかと。同じポジションから2試合連続でレッドカードというのは、上位チームのやることとは言えない。やはり今年のサガン鳥栖は、降格圏チームの最終戦近くの本気プレーを、リーグの早い時期から行っているだけだと考えるのが妥当なのだろう。これが、元社長の「一度優勝してみるか」発言の成れの果てというか、代償。サガン鳥栖は、開幕から連勝を続け、上位にいても、実態は降格争い最前線のチームである。セレッソが勢いを止め、川崎が仮面を剥がし、名古屋が蹴落とす。そんな4月となりそうである。