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老老介護の妻を殺した被告人に敬語で接する裁判官


老老介護で行き詰まり、心中しようと試みるも、自分は死にきれず逮捕。これまで何度も繰り返される難しい問題。

記事

 

裁判官が被告人に敬語でかける言葉

これまで長いこと尽くしてこられた。自分を第一に、体を大事に、心穏やかにと願っています

殺人という罪を犯しながらも、そこに至るまでの過程を汲んで出た犯人へかけた裁判官の言葉。"自分を第一に"という言葉に想いがこもっている。

4月30日犯行、6月24日初公判、7月2日判決

犯行から判決まで約2ヶ月。このスピード判決には、被告人の72歳という年齢と直腸がんと胃がんの治療中という事情が加味されているのだろう。

選択の先の結論

介護施設に入る勧めもあったというが、入りたく無いという妻の望みを叶えるために夫は尽くしてきた。しかし限界が来たということか。限界が来たら方向転換することもできたとは思うが、施設に入るよりは死ぬことを選んだ。ひこくにんは、他に方法はなかったのか聞かれ、なかったと思うと答えており、妻は介護施設に入るより死ぬことを望んだということをにじませている。

自らも闘病中の身

がんの闘病生活を送りながら老老介護を続け、心身が疲弊した状態だった

がんと戦いながら、毎日の介護をするのは、終わらない絶望感に襲われたであろう。妻の側も、施設に入ることを選ばなかった段階で、行き詰まることは想定できたであろうから、

村武被告が「今日死ぬか」と尋ねると、亥聖子さんはすぐに「ええよ」

と答えたのは理解できる。何かこう、阿吽の呼吸みたいなのが見える。こういうの、罪から逃れたいがための作り話でも可能なのだが、それを否定するような状況証拠が数多あったのだろうし、繰り返される老老介護の殺人事件と6年間介護してきた事実から、容易に推測可能である。

殺人は犯罪である

承諾があったとはいえ、人を殺害する行為は決して許されない

これは大前提にある。しかしそれでも、情状を鑑みると、だからと言って責めるのが当然という状況でも無い。だから、懲役3年・執行猶予4年となったのだろう。同意殺人罪の法定刑が、6ヶ月以上7年以下の懲役又は禁錮なので3年というのは、中間程度。執行猶予がついており、この被告人は犯罪傾向にある人とも思えないので、このまま裁判官の願うように、自分を第一に、体を大事に、心穏やかに過ごして欲しいと他人ごとながら思わざるを得ない悲しい話。

繰り返される事件

この事件では心中しようとして介護する側が死にきれなかったケースだが、される側の言動に腹を立てた殺人や、する側の自殺等、介護にまつわる悲劇は、何度も何度も繰り返されている。今回は介護施設に入ることを勧められたのに拒否しており、単純に福祉の充実が求められるというだけでは無い問題を孕んだ難しい問題である。