驚くべき判決ではないか。いじめを認定しながら、自殺は本人の意思、家族も「両親は家庭環境を整えることができず、生徒を支えられなかった」という過失があるらしく、過失相殺で、加害者側3750万円、被害者側3350万円、差引き400万円の支払いらしい。
記事
両親の責任?
自殺した子の両親の責任が、3350万円とは…絶句しかない。積極的にイジメた側と1割しか差がないのか。
論理的おかしさ
積極的にイジメた側と保護者の差がほとんどないことのおかしさは、原因を作る側は今も先手を取れるし、守る側はいつも対応しかできないこと。イジメをエスカレーションすることは容易だが、エスカレーションされたイジメに親が対応するのは、常識ある親ならば、戸惑ってしまうはず。
そもそもの因果関係
まず、そもそも、イジメがなければ、親は何も責任は生じない。イジメ側が存在したから、責任が(存在するとは思えないが)存在した。そのような責任の関係の中、両者の責任がほぼ同じというのはどういうことなのだろうか。
過失なのか?
降って湧いたような自分の子へのイジメが、自殺するほどのものであるにもかかわらず、それに適切に対応できなかったからと、加害者側とほぼ同額の過失があるとする感覚。理解に苦しむ。そもそもイジメられた親の責任は、過失責任なのか?
やられたら親がやり返せということか
この判決が、何か建設的な意味を持つとすれば、言いたいのは、イジメは裁判では死んだ後の賠償の話にならざるを得ないので、自力救済しろということだな。両親は、息子が蜂を食べさせられそうになったということなら、やった子を捕まえて、食べさせろと。日常的な暴力を受けているなら、日常的な暴力を親が仕返せと。そう言っているのだろう。親の過失が、イジメ側とほぼ同じというのは、そういう理解しかできない。裁判官何考えているのだろうか。
イジメで自殺するなということの意味
ある意味、この判決は、イジメられた親に対し、受けた悲しみと同じだけを加害者の親に与えても良いと理解することもできる。すなわち、一旦400万円受け取って、自分の子が受けたと同じ状況と結果を、加害者側に受けさせなさいと言っていると解釈できよう。その上で、400万円返せば、相殺されるのだよと。そういう発想でしか、この判決では、被害者とその両親は浮かばれない。
背景
とはいえ、この記事はあまりに短い。何か書かれていない事実がある可能性はある…としか言えない。でも、これ、有名なイジメ事件だったはずで、そんな隠された事実などあっただろうか。