救急隊員。新型コロナの対策において、他よりも感染リスクが高く、臨機応変な対応も求められる、最も過酷な環境に置かれている方々である。研究者、医療従事者と続いてきたGoogle Doodleの新型コロナウイルス対策支援者の3番目に登場しているが、この順番、とっさの判断、対応が迫られる難易度、および自らが感染するリスクがより高くなる順番と言える。後になるほど危険な職務であるということである。
救急隊員と研究者、医療従事者の比較
研究者
- 対応の難易度
予めコロナウイルスを扱うことが分かっているから感染予防策を取った上で研究することができる。また、対応も予め計画して取組むことができる。
- リスク
失敗したらやり直しができる。また、準備してから研究できるので、自らの感染リスクは低い。
医療従事者
- 対応の難易度
症状から新型コロナウイルス感染者否かの予測がつく。また、大きな病院であれば、専門のスタッフ、設備を用意するができる。
- リスク
対応に失敗した場合、患者を死なせることになったり、自ら感染するリスクはあるが、設備環境が整っている。
救急隊員
- 対応の難易度
出動要請の情報で、事前にある程度分かっていることが多いだろうが、救急隊員は、コロナ対応のみを行うわけではないので、対応準備等万全の態勢で臨めるわけではない。また、救急車等の業務従事活動を行う環境の制約も多い。
- リスク
救急隊員が、新型コロナウイルス感染患者に接する時間は限られているので、対応に失敗した場合に患者の容態を急激に悪化させるというリスクは医療従事者対比小さい。しかし、救急車という密集・密接・密閉された狭い空間で従事することから、自らの感染リスクは高い。
社会的リスク
研究者が自ら感染した場合、その研究者の濃厚接触者の検査・隔離、関連研究施設の消毒等が行われることになる。また、研究が一時止まることになる。
医療従事者が自ら感染した場合、その従事者の濃厚接触者の検査・隔離、医療機関の消毒等が行われることになる。また、その病院での治療が行えなくなる、もしくは規模縮小となり、病院機能の制約が生ずる。
救急隊員が自ら感染した場合、その隊員の濃厚接触者の検査・隔離、救急車、消防署の消毒等が行われることになる。また、その救急車を使用した救護活動ができなくなる。もしくは規模縮小となり、救護活動に制約が生ずる。さらに、消防隊員が複数感染した場合、隊員数の不足から、救護活動に大きな支障がでる。新型コロナ感染者の救護という点では、急激な病状変化があるとはいえ、1分1秒を争うとまではいかない。しかし、救急隊員が対応しなければならないのは、コロナ感染者だけではない。
以上から考えると、救急隊員の業務は、緊急性、感染リスクいずれも、研究者、医療従事者対比高く、救急隊員個人に非常にストレスのかかる業務である。これは、なにも新型コロナウイルス対応に限らず、普段の業務遂行においても同じである。非常に過酷である。
コロナ対応にとどまらない社会的リスク
救急隊員が対応しなければならないのは、脳溢血、心筋梗塞、傷害と、1分1秒の単位で緊急性を要する患者たちも含まれるのである。ただでさえ新型コロナウイルス感染疑いのある場合は、防護対応が必要となり、救急活動にが煩雑になるが、さらに、救急隊員が感染した場合、1分1秒を争う患者の救急活動に支障がでる。さらに、救急車は、消防署による運用となるので、消火活動にも影響が出てくる可能性がある。救急隊員が感染した場合の社会的リスクは他の研究者、医療従事者に比べて高い。
まずは自分の身を守ること優先で
任務はあれども、必要以上の使命感で自らの身を危険にさらす必要はない。自らの身は自ら守った上での救急活動を行なってほしいと願います。