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成城石井オリジナルサワー:こだわりとコストの妥協点が視覚化されてしまい辛い


家飲み需要が高まった2020年の休日や、仕事終わりにぴったりな成城石井オリジナルサワーがタイミング良く発売されている。種類により果汁の割合やアルコール度数を変えてきたり、産地にこだわりを感じるが、これも商品であり利益を上げるためのもの。利益を上げるためという制約があるため、こだわりとコスト面での妥協が、商品パッケージからチラチラと見えてきて興味深いというか、こんな事情を見せてしまって商品戦略上良かったのかと思ったりもする。こだわりは、コスト的にできる範囲でのこだわりですよと割り切って表示している商品パッケージなのだから。さすがというかなんというか。割り切り、いや、思い切りが良い商品である。

新発売タイミング

2020年3月発売である。となると、どの程度かはともかく、企画・開発は新型コロナによる自粛要請前であったのだろう。非常に良いタイミングだった。発売予定日が、もっと遅かったら、自粛要請で、企画自体が影響を受け、発売に向けた様々なスケジュールが妨げられた可能性がある。

このことは、「成城石井オリジナルサワー」にとって幸運であっただろう。自宅飲みの需要も増加しているので、タイミングは良いことづくしである。

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果汁の量とアルコール度数について

種類 果汁 Alc.
かぼす   7%   7%
ゆず   7%   7%
オレンジ 20%   5%
すもも 20%   4%

最近は果汁の多さを謳う商品も多いが、果汁の量は缶チューハイとしては多い方である。アルコール度数は、普通のチューハイとストロング酎ハイの中間といった濃さである。7%、5%、4%と結構細かいアルコール度数設定をしている。また、上の表を見ればわかる通り、強弱と狙いがハッキリした割合設定になっている。甘めの果汁であるオレンジとすももはアルコール度数を低くして飲みやすくし、かぼす、ゆずといったスッキリした柑橘類は高め、といっても7%に抑える。この絶妙さが、非常に分かりやすく、多くの人々に支持されるという作戦だろう。

こだわりとコストの妥協

缶のデザインについて

缶のデザインは統一されているが、製造所は全て同一というわけではなく、オリジナルすももサワーは、ふくれん甘木工場で、それ以外の3つは、アシードブリュー株式会社宇都宮飲料工場となっている。そのせいか否かは分からないが、種類により売りとするポイントが変わっている。

使用果実と酒類の売りについて

それぞれの味のサワーが使用する果実及び酒類をまとめると、少し変なことに気づく。統一性が無いのだ。

種類 使用果実 使用酒類
かぼす 国産かぼす 鹿児島県産芋焼酎
ゆず 国産ゆず 鹿児島県産芋焼酎
オレンジ シチリア産ブラッドオレンジ ウォッカ
すもも 九州産すもも アルコール

成城石井オリジナルサワーにおいて、がこだわりの強いもの、がこだわりのないもの。見事な二者択一。

かぼすとゆずは、「鹿児島県産芋焼酎」と使用する酒の種類・産地まで言及しながら、果汁は、「国産ストレート果汁」とまでしか言及しない。酒について鹿児島産とまで書いたのなら、せっかくだから果汁も日本のどこ産なのかまで書いて欲しいところ。特に鹿児島はゆずの産地で知られているし、同じ九州であれば、大分がかぼすで有名であるからそれを使えばこだわりが強く感じられる製品になったのに。

逆に、単なる国産としか書かないと、果汁について書かないのは何故か、何か書けない理由があるのかと、消費者としては疑いたくなるくらいで、せっかく酒について細かく産地を限定したのに逆効果になりかねない。まあ、本当に書きたくない可能性があるけれど。しかし、産地のこだわりというのは、統一感がないとブランドとして弱いのは否めない。
オレンジについては、逆で、果汁は、イタリアのシチリア産とまで限定したのに、使用する酒は、ウォッカとだけしか書かれていない。しかも、大きくは書かず原材料名にのみ記載。どこ産ウォッカか書けば良いのにと思ってしまう。特にイタリアには、ワイン由来のウオッカ「I SPIRIT」というこだわりが強く感じられる酒があるのにもったいないとすら言える。とはいえこのウォッカ、価格が高いので、缶チューハイには無理だとはいえます。
すももも、「九州産」と県名までは至らないが、産地は大きくは分かる。しかし、使用する酒の種類が、「アルコール」とだけしか記載されていない。これではどのような種類かさえ分からない。これまでで一番ひどく、こだわり感ゼロである。せっかくの「九州産すもも」という訴求力が台無しである。まあ、だから小さく書いてあるだけなのであろう。書きたくないからね。鹿児島で「ミーシャウォッカ」というウォッカが作られてはいます。しかしこちりもかなりお高いので、缶チューハイには無理だというのは分かる。

使用果実にこだわれば使用酒類のこだわりが無く、使用酒類にこだわれば使用果実のこだわりがなくなる。使用果実も使用種類も共にこだわるものはなく、二者択一。この少々悲しい状況が、缶のデザインから溢れ出ている結果になっている。コストの問題なのでしょう。しかしこれ、やってる側はどう考えているのか分からないが、やられた側の方は、実態を知ってしまったら、なかなか残念な気持ちになるというもの。

産地や種類を大きく書いたり、書かなかったりする意味

このような表示は、たまたまそうしてしまったということはなく、売り手が、強調したいことは大きく書き、言いたくないことは、法で定められた最低限しか言わないという意図に従って行われている。つまり、すももで使われている酒の種類は、かぼすやゆずのように強調したいなどということはなく、ブラッドオレンジと比べても言いたくないものを使っているということ。シリーズで統一性がなくとも、言いたいことは言い、言いたくないことは言わない。言っている内容の差が、同じオリジナルサワーシリーズの中で混在している。これをしている側は、当然承知してやっているわけであり、ブランディングとして、このやり方にどういう意味が込められているのかは、興味がある。まあ、コストの違いという現実的な一言で片付けられるのだろう。

オレンジとすもものアルコール度数の差

こだわりとコストの話で考えて行けば、アルコール度数が、オレンジは5%、すももが4%というのも、こだわりゆえではなくて、単にすもものコストがオレンジより高いからというだけの可能性はある。このあたりはもう分からない。