阿波踊り開催を巡って利害関係者が数多登場しているが、その内、これまで推進してきた2組織が鍔迫り合いしているのが、ある意味当事者だったはずの徳島新聞からなされている。当事者と言える立場なので、もちろんポジショントークの記事であろうが、すこぶる客観的に見えるよう工夫がなされた記事である。しかしこの記事のポジショントークに乗っかって、徳島市の阿波おどりをめぐる騒動を見てみたい。
阿波踊りをめぐる最近の経緯
こう言うのまとめるのは、さすが新聞社である。非常に分かりやすい文章である(徳島新聞の立ち位置が)。
徳島新聞の論説
踊り関係者から聞こえてくるのが「市が事業体に契約解除を言わせようと仕向けている」との見方だ。
これ、3月9日の記事だけれど、この見方と、4月1日の契約解除の発表を合わせて考えれば、市が共同事業体を外そうとしたけれど、外れてくれないから強行的に解除したと言うことか。この記事が出て1ヶ月持たずに市が動いてしまったと言うことになるが。駆け引き下手だったということか。というか、キョードー東京の参画する共同事業体に、この手の駆け引きで勝てるわけがなかろうに。
共同事業体側の反発
まあ、当然反撃を喰らうでしょう。
昨夏中止となった踊り事業の開催準備費用の分担を巡って実行委に何度も直接協議を申し出たが、実現していない。3月上旬には文書で回答を求めたものの返事はなく、徳島市に連絡しても「議会で忙しい」などと取り合ってもらえなかったという。実行委から連絡がないまま、この日にメディアを通じて契約解除を知り、「あー、という感じ。これまでの交渉経緯からすると、市長にも実行委にも不信感しかない」と話した。
上手いコメント。阿波おどり実行委員会に協議を申し出た、文書で回答を求めた、委員長が市長だから徳島市にも連絡した。しかし連絡がないまま直接ではなくメディアを通じて、契約解除を知ったと。だから市長にも実行委にも不信感しかないと。完璧である。イベントのプロ側なので、言った言わないがないように証拠を残しながら進めているのだろうから、これは市側はかなり不利な状況。
その上で、11月の市が独自に行なったイベントを、
コロナ対策が何なのかが分かっていない。市中の密を防ぐ検証もできていなかった
と切り捨ててしまうの、上手すぎる。
その上で、
4月1日に市に事実確認した上で、12日にオンライン会見を行う予定。
と、ちゃんと相手に事実確認した上で会見すると言うのは、そつがなく本当に巧者。一方的な市と、ちゃんと手順を踏んでいる共同事業体という対比が上手い。
実行委や市の担当者の発言記録を残している。理不尽な契約解除だというエビデンス(証拠)を明らかにしたい
証拠は万全ということか。まあ、これははったりの可能性もあり、なんとも言えないが、場数の違いは、徳島市にとって簡単に流せるものではないだろう。