時々のこと

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早くも出た公権力によるワクチン便宜


ワクチン接種の予約システムがダウンしたとか何時間で終了したとかの記事はいくつか見たが、遂に、特定の個人に便宜を図るケースが表に出てきた。今回は愛知県西尾市の副市長が、地元企業の社長夫妻に便宜を図ったと。

これ、急遽取り消したらしいが、その後、この副市長をどう取り扱うのか関心がある。

記事

便宜を図った副市長の言い訳

夫妻は市への貢献度も大きく、忙しいお2人なので担当部署に依頼した

これはダメ。要は、市というのは、市民に行政サービスの提供に専念するのではなく、逆に市への貢献に応じてサービスの程度に差をつける権限があると言ってしまっている。これを進めると、税金を多く納めた市民が、生活保護を受ける市民よりも良い行政サービスを受けさせる裁量が市にあるという発想になりかねない。しかも、「忙しいお2人なので」などという余計なことまで言っている。今後、仕事が忙しい市民に対しても、接種日に優遇しても良い口実を与えたことになる。それとも、毎日忙しく働いている市民は、市にとっては忙しいうちに入らないのかもしれない。いずれにせよ、30文字程度のコメントの中にダメなことが2つもあるの驚き。

処罰

謝罪会見を行っているようだが、然るべき処罰は受けるのだろう。副市長の仕事は、基本的に課題について判断し指示を出す仕事である。しかしこの人の判断は、行政としてあり得ない、市民の貢献に応じた差別的取り扱いをナチュラルに肯定しているので、市の課題の判断を任せるには相応しくないと思われる。副市長には、判断の必要のない仕事を行ってもらうというのが適切であり、何らかの処罰を受けたら、再度、判断業務に従事するというのは、市のためにならないと考えられる。

両者の言い分

市の言い分

スギHDの社員から市健康課に「夫妻がいち早くワクチンを打てないか」と相談があった。社員は、杉浦夫妻が薬剤師で医療従事者に当たると主張。市の担当者は当初、医療従事者への接種は県が担当のため「対応しかねる」と断った。

スギHDの言い分

市に問い合わせは何度かしたが、便宜を図ってもらうよう依頼したことは一切ない

これもなかなかミスリードしがちな文である。

両者の言い分を立てる案

杉浦夫妻が薬剤師で医療従事者に当たるから、夫妻がいち早くワクチンを打てないかというロジックで市に問い合わせたのだろう。これを市が依頼と受け取り、スギHDは、問い合わせと言っていると考えれば、両者は共存できるだろう。

社長夫妻はいつ接種できるのだろうか

これ、実はおかしな状態になっていて、結局、社長夫妻は、自分で予約することになるのだろうが、本当に自分で予約したのに、早くなれば、それはそれで再度疑われることになりかねない。かと言ってそういうことも合わせて調整するのは当然ダメ。つまり、この夫妻の接種日はいつになるのかというのは、いつになっても何か言われることになろう。便宜を図ろうとして失敗した後の取り扱いの公平性とは何かという問題…なかなか興味深い。