マスクを着用しない乗客を降車させたとして、国土交通省中部運輸局から、伊豆箱根バスが道路運送法に基づき行政処分を受けた話。
バスという閉じられた空間の中で、マスクを着用しない乗客を降ろすことができない運転手。他の乗客の視点が抜けていて、マスクを着用しない乗客とバス運転手の1対1で閉じた話で終わらせないといけないというのは、現実問題としては厳しい話。ただし、バス会社としては、バス停以外の場所で降車させたことが今回の問題のメインというリリースの仕方をしており、今後もマスク着用のお願いは継続するということなので、バス会社の向いている方向は良いように見える。
記事
走行中の路線バスに、マスクを着用しない客が乗車した。男性運転手は車内放送で着用を求めたが、客が従わなかったため、バス停ではない場所で停車。乗客に「降りてください」と言って降車させたという。
バス会社の事態説明リリース
http://www.izuhakone.co.jp/bus_kaiji_20220901%20.pdf
バス会社およびバス運転手ができること
マスクをしない乗客には、マスクしてと言うしか他にできることがないのか。バス会社コメントに、降車を求めたことは不適切だったとしながら、「マスク着用のお願いは継続する」と回答しているのは、他の乗客がマスクをして欲しいと考える乗客にとっては心強い。
他の乗客への考慮の要否
記事では、他の乗客の有無が書かれていない。この行為は、他の乗客がいるいないで状況が異なるかもしれない。バス会社のコメントで、「運転手は他の客に迷惑がかかると判断して降車を求めたが、不適切だった。マスク着用のお願いは継続する」となっているので、他の乗客がいた可能性はあるが、これから乗車する客のことを想定している可能性もなくはないので、他の乗客の有無を断言はできない。
他の乗客ができること
バス車内で、マスクをしない乗客がマスク着用を拒否したら、マスクをしていない他の乗客と一緒に乗車したくないと思う人がいた場合、自らが降りないといけないのか。マスクを着用しないという考えは1人で完結できるが、マスクをしていない他の乗客と一緒に乗車したくないという考えは自分だけでは完結しない。これを調整できるのはバス車内では、運転手だけである。しかし、その行為に対して行政処分が下ってしまっている。
問題の所在
バスの運転手が権限外のことをマスクを着用しない乗客に求めたことが問題なのではなくて、マスクを着用しない乗客と同じバスに乗りたくない他の乗客のことに配慮しない法律になっていることが問題なのではないか。行政処分ではなく、法整備が足りないように見えるのだが。 拒否されたら、他の乗客で、それを嫌う人は自ら降りないといけないのか。行政処分ではなく、法整備が足りないことが問題に見えるのだが。
バス会社の意志
但し、バス会社のリリースを見ると、文面にはお詫びの文言はない。「バス停以外の場所で降車させたこと等に対し」としており、主な問題は「バス停以外の場所で降車させたこと」だとしているように見える。つまり、マスクをしない乗客に対し降車させたことが誤った判断とはバス会社としては考えていないという思いが滲んでいる。コロナ時代に法整備が遅れていることを指摘した形の文になっていると言える。