日本語と少年サッカー

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「10人のインディアン」の日本語版はなぜメジャーじゃないのか?


「10人のインディアン」の歌詞をご存知だろうか。

歌詞

one little two little three little indians
four little five little six little indians
seven little eight little nine little indians
ten little indian boys

ten little nine little eight little indians
seven little six little five little indians
four little three little two little indians
one little indian boy

分かることは何か

これを見て、歌詞だけからわかることはなんであろうか。単なる数遊びの歌だろうか。
歌詞は非常にシンプルなので、ここから、例えば、インディアンの少年は10人まで増えてその後1人まで減るが彼らはいったいどのような状況で何をしているのか、といった意味的背景を探っても国語現代文上の解釈は「単なる想像」に過ぎないことになる。それ以外に、この歌から読み取れることはないか。

歌われる状況

この歌が歌われる状況を考えてみたい。
この歌を主に歌うのは幼児であろう。日本では、初級段階の英語教育に使用されるかも知れない。
それはなぜか。
この歌には英語における3つの教育効果が期待されているのである。

まず、1から10迄の数をどう言うかということ。これは簡単に言い当てられる。
あと2つは、英語の名詞表現における文法である。
その一つは「複数名詞に付けるs」である。
大抵の人数の場合には名詞に複数を表すsがつく。しかし、oneの時だけsがつかない。これをまだ文法をよく知らない乳幼児に歌って聞かせたり、自分で歌わせたりすることで自然に身に付けさせようようと言う意図があるのではないか。
もう1つは、この歌詞には、indianが、「ten little indian boys」というように形容詞として使われるのみならず、「five little indians」のように名詞としても使用されているのである。このような形容詞の名詞的用法も学ばせているという非常に教育効率のよい歌詞なのである。

結論

以上から、この歌詞は、英語を覚え始めの乳幼児に英語表現の3つの要素~数え方・名詞が複数を表すs・形容詞の名詞的使用~を身に付けさせようという意図の下に作られた歌詞であるので、この点に着目すれば、この歌詞が日本でも専ら英語で知れ渡っており日本語歌詞が広まっていないことを理解することができる。
つまり、日本語には、名詞における単数複数の区別が無いし、便利な助詞「の」のおかげで、「3人のインディアン」と言うときも「10人のインディアンの少年」と言うときも、ともに「インディアン」は名詞として取り扱われている。
このため、日本語では、この歌を乳幼児に聞かせて、語学的効果が期待できるのは、単に「数え方」の部分だけであり、数え歌以上の期待はできない。
数え歌ならば日本にもいくつかあるため、ある意味日本の乳幼児になじみの無いインディアンを例に出してまで数を教えるニーズは無いのである。