いやあ、文章要約というのは、こういうものかというのを見せてもらえた。
要約の美が分かる記事
どこが素晴らしいのか
この記事の素晴らしさは、記事中の次の文から分かる。
会見は98分間に及んだ。
98分間の会見に関する記事である。これを原稿用紙1枚にも満たない記事にしたと。これが素晴らしいと言わずして何なのか。
意図が丸わかりな記事
会長が過去に銃撃を受けたと答えた記述を入れた上で、独裁の指摘に対し会長の
(協会を)牛耳っているとか、反社会勢力とか一切ございません!
という発言を入れるなど、金原会長の印象をどう持っていきたいのか丸わかりな記事である。写真についても、なぜかテコンドーと関係のない暴力団追放運動に関する資料を手にする会長という謎のカットである。これ、テコンドー協会の理事会後の会見記事ではなかったのかと言いたいほどの文章。会見自体もそんな感じだったのかもしれない。
事実と求められるものと書きたいもの
記事というのは、タイトルに対し事実を元に記者が書きたい主張を文章にすることは許される。しかし、これ、タイトルからして会長と反社会勢力とを結びつけており、ああ、そういう意図の記事かということになる。テコンドー協会の理事会後の会見であるのに、理事会の内容をメインにする気はないと。看板に偽りはないけれど、何で?という印象。まあ、こういうの、書きたいというより、求められているのでしょうね。それにしても98分間の会見をこれほどまでに要約し、欲しいところだけアクロバティックに書くとは、やはり要約の美というにふさわしい記事である。